2009年11月アーカイブ

ナチスによって家族を失ったユダヤ人女性が、復讐を果たそうとする物語だ。
タランティーノ監督の前作「キル・ビル」も同じく復讐とテーマとしていた。あちらが痛快アクションであったのに対し、こちらは非力なヒロインがあっと驚くような武器でドラマチックに対抗する。歴史上の人物が登場するにもかかわらず、復讐をとげるにためには史実を曲げてしまう潔さが痛快だ。
ヘンな役でこそ魅力を発揮するブラピにくわえ、冒頭から出ずっぱりのナチス大尉を演じるクリストフ・ヴァルツが見所となっている。優しそうな笑顔を見せつつとことん相手を追い詰める話術は、いやらしくも目が離せない。あのおじさんにはまた会いたい!

2時間半という上映時間でありながらいつまでも終わって欲しくない、タランティーノ流「ニュー・シネマ・パラダイス」である。

杜甫の詩をモチーフにした雨の情景が美しい。大学時代に引かれあっていたものの、結ばれることのなかった二人の再会から始まる。男性は韓国人で女性は中国人、かつての留学先がアメリカということで劇中は英語となっている。
人生の転機を経て大人になった二人が自然に惹かれあう序盤はいい。偶然の再会と、実は好きだった、という展開が女心をつかむのだ。ヒロインがわけありムードを漂わせると、一気に疲れた。自分から誘っておいてはぐらかしたり、思いつめた表情ばかりを見せたり。それに対しうっとりとするようなマスクと大きな体のまま、どこまでも甘く寛大なチョン・ウソンなのだ。
そんな二人にスパイスを利かせるような、ハゲ頭の支社長に救われている。



ひとりのマドンナをめぐる密室劇が「キサラギ!」にそっくりな設定ながらも楽しめたのは、キャストの魅力ゆえか。
クリスマスイブのすたれた海の家で、夏の間いかにマドンナに愛されていたかというモテ自慢がえんえんと展開される。歳も職業も違う男たちでありながら、目的はただひとつだ。おそらくは誰がマドンナをモノにしようかということではなく、いかに自分と彼女に接点があるかが重要なのである。実際、本命彼女がいたり、マドンナを知らない男までが参戦してくる始末である。妄想をまじえた回想シーンや、都合のよい思い込みがたまらなく愛おしい。モテこそは人生のエネルギー源ということがよく分かる。

このシチュエーション、面白い役者が揃えばいくらでも作れそう!